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新型ドマーネ徹底解説|アイソスピード廃止の理由と軽量化

2026年8月27日

バイクスタッフブログ

こんにちは、広島県福山市のスポーツバイク専門店 cyclehouse Ken’sです。

トレックの「ドマーネ」が、第5世代になりました。

 

当店も先日、メーカーの発表会に行ってきました。

開発の背景から実測データまで、かなり踏み込んだ説明を聞いてきましたので、「結局、何がどう変わったのか」を、この記事1本にまとめていきます。

長くなりますが、目次から気になるところへ飛んでください。

 

【そもそもドマーネは、何のために生まれた自転車か】

ドマーネはもともと、クラシックレースで勝つために生まれました。

石畳で有名なパリ〜ルーベを走るために作られ、実際に勝っています。

ファビアン・カンチェラーラがパリ〜ルーベを制しました。

ただ、近年のパリ〜ルーベでは、マドンに30Cや32Cの太いタイヤを入れて走るケースが出てきました。

レース機材という立ち位置からは、ドマーネは少しずつ離れてきている——これが今の実態です。

 

【4世代で、ドマーネはこう変わってきた】

新型ドマーネ SL 5 の全体像
新型ドマーネ SL 5(写真:トレック)

もともとドマーネが生まれたのは、25Cのタイヤ・リムブレーキの時代でした。

当時は空気圧を高くして乗る必要があったので、路面からの突き上げをいなす仕掛けが要りました。

それがリアのアイソスピードです。

世代 主な変化
第1世代 25Cタイヤ・リムブレーキ。リアのアイソスピードを搭載して誕生
第2〜3世代 タイヤが太くなりディスクブレーキへ。フロントにもアイソスピードを追加。リアは調整式に
第3→第4世代 1回目のシンプル化。タイヤが太くなり、乗り心地に占めるタイヤの割合が増えたため、フロントのアイソスピードを廃止。リアも簡素化し、1回目の軽量化を達成
第5世代(今回) アイソスピードそのものを廃止

つまり、タイヤが太くなるにつれて、機構を減らしてきた歴史です。今回はその延長線上にあります。

 

【第5世代で、開発チームが立てた2つの目標】

今回、開発チームは相反する2つの目標を同時に掲げました。

1. 前回を超える、圧倒的な軽量化を達成すること
2. ドマーネらしさ(快適性)は損なわないこと

この2つを同時にやろうとすると、どうしても手をつけざるを得ない場所がありました。

アイソスピードです。

「これをいつまで持ち続けるのか」「これが無くてもドマーネらしさを担保できないのか」——開発チームは、そこに挑戦しました。

 

【アイソスピードは「無くなった」のではなく「置き換わった」】

新型ドマーネのシートチューブまわり
シートチューブまわり

ここが今回いちばん大事なところです。

開発チームが着目したのは、フレーム・シートポスト・タイヤの3つ

この3つに同時に仕事をさせれば、アイソスピードと同じ快適性を担保できるのではないか——それが今回の仮説でした。

 

① フレーム

これまでは「アイソスピードがある前提」でフレームを設計していました。

それが無くなったことで、設計の自由度が大きく増しました。

ギミックに頼らず、フレーム単体でしなって快適性を生む。

そのためにカーボンの積層をゼロから見直し、まったく新しいフレームになっています。

タイヤのクリアランスも、従来の38mmから40mmに拡大しました。

 

② シートポスト

振動吸収に特化した、新しいシートポストを開発しています。

第4世代では空力も意識してD型の形状でしたが、今回はもっとも振動吸収性が高い丸型に変更。

カーボンの積層も、振動吸収に特化した設計に見直されています。

 

③ タイヤ

今年3月に発表された Bontrager Kwaremont Pro(クアレモント プロ)の35mm幅が、今回から標準になりました。チューブレスレディで、耐パンクプロテクション付きです。

ここは補足が要ります。トレックは第2世代のディスクモデルの時点で、すでに32mmのタイヤを設定していました。

もう10年ほど前の話です。

当時は「太すぎるのでは」と思われた方が多かったはずです。ですが今はどうでしょうか。

32mm・30mmというタイヤは、かなり一般的になりました。

トレックはそれだけ先を行っていたことになります。

そして今回、もう一歩先に行って35mmを標準にしました。

32Cの設定もあるので、好みに応じて選べます。

※1点だけご注意ください。 この35mm・チューブレスレディが標準になるのは SL 5以上 です。

Domane SL 4 だけは、32mm幅のクリンチャー(チューブレスレディではありません)になります。

SL 4とSL 5の4万円差の中身でもあるので、SL 4をご検討の方は頭に入れておいてください。

 

【「本当に同じ快適さなのか」を、どう確かめたのか】

ここが個人的にいちばん面白かったところです。

フレーム・シートポスト・タイヤの3つが、本当にアイソスピードの代わりになっているのか。

トレックはなるべく実走に近い条件で測る必要がありました。

そこで使われたのが、アメリカ・ウィスコンシン州ウォータールーの本社にある「パフォーマンスリサーチラボ」という専用設備です。

 

昔はどうしていたか

実は以前、トレックはパリ〜ルーベの実際のコースに行って、路面に樹脂を流し込んで型を取り、それをアメリカへ持ち帰って再現していました。

さすがに効率が悪い。そこで作られたのが、この設備です。

 

何ができる設備か

自転車用の巨大なルームランナーのようなもので、表面のパーツを差し替えられるようになっています。

これによって、スムーズな舗装路から、少し荒れたグラベル、岩がゴロゴロした区間まで、さまざまな路面状況を室内で再現できます。

ライダーは上からハーネスで吊り下げられ、自転車とライダーの両方にモーションセンサーが取り付けられます。その動きを撮影し、解析ソフトで分析する——という仕組みです。

 

測った結果

第4世代と第5世代を、こう比較しています。

  • 第4世代=アイソスピードありのフレーム+32mmタイヤ+従来のシートポスト
  • 第5世代=アイソスピードなしの新型フレーム+35mmタイヤ+新型シートポスト

見たのは2箇所。自転車側(BB部)の上下動と、ライダー側(骨盤とサドルの距離の変化)です。

測定箇所 第4世代との差
自転車側(BB部) 0.08mm
ライダー側 0.112mm

コンマ1mm前後です。

メーカーの結論は「この差では、ライダーが第4世代と第5世代の違いを理解することはできないレベル」。

つまり、アイソスピードが無くても、新型フレーム・35mmタイヤ・新型シートポストの組み合わせで、同等の振動吸収性を達成できているということになります。

 

【では、何が軽くなったのか】

軽量化の要素は3つです。

1. アイソスピードの廃止
2. ダウンチューブのストレージの廃止
3. OCLV 900カーボンへの変更(マドンと同じ素材)

 

ダウンチューブのストレージについて

グラベルライドのようにチューブをたくさん持ち運ぶ用途なら、収納は多いほど良いものです。

ですがドマーネのようなオンロードのバイクでは、最近はTPUチューブなども増えていて、それほどの積載能力は求められなくなってきました。

必要な人がシートパックやフレームバッグを使うほうが合理的——という判断で、今回なくなっています。

 

OCLV 900について

素材そのものの引っ張り強度が上がっているため、使用量を減らせます。

そのぶんが軽量化になっています。

結果

軽量化
SLR フレームセット 約300g
完成車(SLR 9 AXS 構成) 約950g(ほぼ1kg)

※注意:950gという数字は、いちばん軽い構成での話です。 グレードによって差がありますので、「どのモデルでも1kg軽い」ということではありません。

 

もうひとつ、重量の話でお伝えしておきたいことがあります。

完成車にペダルは付属しません。つまり、カタログの重量にペダルは入っていません。

さらにトレック自身が、重量表記についてこう注記しています。

公表される重量は塗装済みの試作フレームで計測したものであり、実際の製品とは異なる場合がある、と。

実際に乗る状態にすると、ペダル、ボトルケージ、ボトル、サイコン、ライト——と積み上がっていきます。

カタログ値と、実際に走り出す状態の重量は、1kg近く変わることも珍しくありません。

カタログ上の数十グラムの差より、実際に乗る状態でどうか、そして体に合っているかのほうが、一日走ったときの差はずっと大きいというのが、当店の実感です。

数字は目安として便利ですが、それだけで選ぶと後悔します。

 

【他のモデルと比べると、どうなのか】

ここは正直に、負けている比較も含めて書きます。

エモンダとの比較

比較 結果
フレーム単体(SLグレード) ドマーネが144g軽い(※塗装の有無の違いあり)
完成車(105・SL5同士) ドマーネが260g軽い
フレーム単体(SLRグレード) エモンダが61g+塗装分 軽い

完成車の比較で注目していただきたいのは、エモンダは28mmタイヤ、ドマーネは35mmタイヤという状態での260g差だということです。太いタイヤを履いた状態で、なお軽い。

一方で、上位グレード(SLR)まで行くとエモンダのほうがわずかに軽いのは事実です。

ただ差は61g+塗装分なので、ここで車種を決める理由にはならないと当店は考えています。

 

マドンとの比較

比較 結果
フレーム単体(SL) マドンがわずかに軽い
完成車(SL5同士) マドンが約200g軽い

こちらはタイヤがマドン28mm・ドマーネ35mmでの比較なので、条件を揃えればかなり詰まります。

3車種を軽い順に並べると、こうなります(SL5グレードの完成車・メーカー公表値)

マドン → ドマーネ → エモンダ

意外に思われるかもしれません。このグレードでいちばん重いのは、エモンダです。

エモンダは「軽さのモデル」というイメージが強いのですが、その軽さが本領を出すのは上位のSLRグレードです。105を積んだSL5クラスの完成車で比べると、35mmの太いタイヤを履いたドマーネのほうが軽いという逆転が起きています。

※ただしSLRのフレーム単体まで行くと、順番が入れ替わってエモンダが軽くなります(61g+塗装分)。「エモンダ=いつでも一番軽い」ではない——グレードによって変わる、というのが正確なところです。

いずれにせよ、「ドマーネは重い」という印象は、今回でほぼ無くなったと考えていただいて差し支えありません。

 

【走りの質も上がっています】

軽さの話ばかりしてきましたが、走りそのものも変わっています。

  • ドロップドシートステーを採用し、空気抵抗を1.26W削減
  • ペダリング剛性が6%向上。マドンと第4世代ドマーネの、ちょうど中間くらいの数値

【ジオメトリーは据え置き。ただしサイズ表記が変わりました】

ジオメトリー(設計思想)は変わりません。

従来どおり、ロングライド向きのエンデュランスジオメトリーです。

ただし、サイジングがS/M/Lのフィットに変更されています。

ここは要注意ですので、当店では必ず現行のサイズチャートで確認のうえご案内します。

マドンとの設計の違い(Mサイズ同士)

項目 ドマーネはマドンより
ヘッド 2.3cm長い
リーチ 1cm短い
ホイールベース 3cm長い
BBドロップ 1cm大きい

ヘッドが長くリーチが短い=上体が起きた楽な姿勢で乗れます。

ホイールベースが長くBBドロップが大きい=直進安定性が高く、重心が低い

これがドマーネらしい乗り味の正体です。

 

【新しいハンドルバーが、納車の悩みを1つ解決しました】

新型ドマーネのハンドルバーを上から見たところ
新しいハンドルバーを上から(当店で撮影)

これまで、「もう少し起きた姿勢で乗りたい」というご要望に、ステムの下にスペーサーを積んでお応えすることがありました。

ただ、スペーサーを積むと見た目のバランスが崩れます。

ハンドリングにも影響します。

今回トレックは、そこをハンドルバー側で解決しました。

同じステムのクランプ位置でも、握るブラケット部分が20mm高くなっています。

つまり、同じ取り付け位置のまま20mm分のポジションが得られる。

逆に言えば、同じポジションならスペーサーを抜いて、すっきりした見た目で乗れます。

マドンよりもフレア形状(ドロップ部の広がり)が大きくなっているのも特徴です。

単体でも販売されます(※価格の税込・税抜の別は要確認)

  • ハンドルバー(アルミ):9,900円
  • ハンドルバー(カーボン):49,900円
  • シートポスト:29,900円

 

【拡張性・互換性】

バッグを取り付けた新型ドマーネ
バッグを付けた状態
  • UDH対応。SRAMのワンバイ(1×)システムに純正で対応できます
  • フレームバッグ用のマウント。ダウンチューブのストレージが無くなった代わりに、フレームの三角部分にバッグをネジ止めできる台座が付きました。トップチューブにもバッグ用のマウントがあります

背負わずに積める、というのは長い距離を走る日にはかなり効きます。

 

【ラインナップ】

SL 4/SL 5/SL 6 AXS/SL 7 AXS

いちばんお問い合わせが多いであろう Domane SL 5 から。

Domane SL 5 Gen 5500シリーズOCLVカーボン/Shimano 105 12速/Bontrager Kwaremont Pro 35mmタイヤ(チューブレスレディ)/重量 8.84kg(MLサイズ・シーラント込み、チューブなし)/サイズ XS・S・M・ML・L・XL

このほかに、

  • SL4=価格を抑えたモデルをご用意。コンポーネントは新型ティアグラ 11速タイヤは32mm幅のクリンチャーです(SL5以上は35mm・チューブレスレディ)
  • フロントシングルのモデル=トレックのロードバイクとしては。SLRで選択できます
  • プロジェクトワン(P1)でカラーのカスタマイズが可能です

他グレードもご用意しています。

価格は改定が入ることがありますので、最新のものを店頭・LINEでお伝えします。
ここに無い構成や、在庫・納期については店頭またはLINEでお問い合わせください。

納期は車種によって異なります(8月に入るものもあれば、11月のものもあります)。

プロジェクトワン(P1)の納期は現時点で未定です。


【当店から一言】

長くなりましたが、まとめるとこうです。

アイソスピードという分かりやすい仕掛けは無くなりました。

でも快適性は、フレーム・シートポスト・タイヤの3つに置き換わって、実測でほぼ同じ。そのぶん約1kg軽くなった。

そして「ドマーネは重い」という長年の印象が、ここで消えました。

 

当店には試乗車をご用意しています。

実車も店頭に並んでいます。

まずはまたがってみてください。

サイズ合わせ(簡易バイクフィッティング)のご相談も承っています。

 

店長も乗ってきました。

アイソスピードが無くなった点については「快適性が良くなった、とまでは言いません。変わらない、が正直なところです。ただ、無くなったからといって、思ったより振動吸収は落ちていない」——効いているのはフレーム全体と丸型シートポスト、そして何よりタイヤです。

 

エモンダとの比較も、正直に書いておきます。

同じSLR同士なら、軽さと登りの瞬発力はエモンダのほうが上に感じます

ただし「35mmを履いていて、振動吸収が良くて、そのうえで軽い」——これはエモンダには無い組み合わせです。

 

そして今回のいちばんの変化について。

「これまでのドマーネは”もっさりして重いけれど疲れない”でした。その”重い”だけが、今回なくなりました」

 

【で、自分は替えるべきなのか】

ここまでは「何が変わったのか」の話でした。

「いま第4世代に乗っているけれど、替える意味はあるのか」——その判断は、別の記事にまとめています。

替える価値が大きい方と、いまのままで十分な方を、正直に振り分けました。

ドマーネ第4世代と第5世代の違い|買い替えるべき人は誰か

ご相談は、お電話(084-922-2082)・LINE・ご来店、などから。

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